二重級数
先日、塾講をしているときに出てきた問題が面白かったのでここに取り上げることにしました。
次の無限級数の和を求めよ。
まずは普通に解いてみましょう。
とおいてみると、は次のようになります。
これより上の無限級数の部分和を求めると、
よって無限級数の和はのであるから、
高校生はこれで解けば満点がもらえると思います。でも大学生らしい方法でも解きたいので以下のような方法も考えました。
最初にこの問題を見たとき、各括弧内の指数部分の取り方に作為的なものを感じました。ぼくはこれを次のような表から得られたものではないか??と考えました。
この表を見れば上に導入したは表のn行1列から1行n列に向かう直線上の和に対応することが分かります!!!!!このような和の取り方を二重級数の対角線式の番号の付け方と呼びます。このことは毎度おなじみの高木貞治の解析概論に載っています。
表の各要素の値は正であるからこの無限級数は収束するならば絶対収束する、すなわち和の順序によらないことが分かります。なので和の順序を交換するためにはこの無限級数が収束することをはじめに示さなければなりません。が、まあ入試問題に出ているなら収束やろ??と思ってしまってこの級数が絶対収束するものとして和の順番を変えてしまいましょう。*1
順番の変え方としてはいろいろあると思いますが、ここでは各行を足しあげてみましょう。するとこの無限級数は
となり上と同じ値が得られました!!!各列を足しあわせても同じ値が得られることはすぐに分かります。
高校生の解く問題を大学数学の観点からちょっとテクニカルに解いてみました。こういうのも面白いですね。
それでは。
*1:とは言ってもきちんと示す必要があります。よりがわかるので収束することが示されます。
古典電子半径
こんにちは、よねすけです。
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体の電子による電磁場の密度エネルギーは
このとき、静止した電子が半径、電荷がの古典的小帯電体球とみなしてみましょう。このとき電場は電子からの距離を用いて、
相対論の結果を援用するならば静止質量が持つエネルギーは
電子が点電荷であるものとすれば、としなければなりません。そうすると電磁場の全エネルギーは無限大に発散してしまいます。これは古典的な電子のモデルがうまくいっていなことを意味しています。また量子力学においても電子は点電荷であるとみなされる(らしい)のでこの無限大の自己エネルギーの困難は量子力学でも引き継がれることになるそうです。
量子論における電子の議論は僕はあまり詳しくないので理論電磁気学のことをほぼそのまま書くままになってしまいました。この分野についても勉強していきたいと思います。
それでは。
Mayerの式を2通りの証明で
こんにちは、よねすけです。
Mayerの式を2通りで示したいと思います。Mayerの式とは、理想気体の等圧モル比熱、等積モル比熱との間に
熱力学的関係式を用いる
これは至ってシンプルな計算により求まります。理想気体の等積過程を考えると外にする仕事はないので熱力学第一法則から
同様にして等圧過程において熱力学第一法則から
今考えるのは理想気体なので理想気体の状態方程式からと書けます。また内部エネルギーは体積によらないと考えられるのでとなります。これより、
Mayerのサイクルを用いる
もうひとつの証明方法としてMayerのサイクルと呼ばれるものを考える方法があります。Mayerのサイクルは自由断熱膨張、等圧過程、等積過程の3つの過程を合わせたものになっていて、下のような図を描くことが出来ます。
理想気体の状態方程式から状態1,2,3のそれぞれにおける温度は、となります。
このサイクルの各過程間の内部エネルギーの変化を計算します。
状態1から状態2に移行する間の内部エネルギーの変化は
状態2から状態3に移行する間の内部エネルギーの変化について、熱力学第一法則を用いると
状態3から状態1に移行する間の内部エネルギーの変化は、
以上より各過程での内部エネルギーの変化が求まりました。この3つの変化を足し合わせれば状態1から状態1への内部エネルギーの変化が求まりますが、これは明らかに0です。故に、
このブログではある一つの命題について色んな角度から証明することを心がけています。今回も綺麗な証明を紹介出来たかなと思っています。また別の証明を知っているよ!!っていう方はぜひご一報ください!!
今回の証明にも久保先生の本を参考にさせて頂きました。
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それでは。
ポアソンの式の一般化
こんにちは、よねすけです。
今回はポアソンの式の一般化を試みたいと思います。
そもそもポアソンの式とは、理想気体の断熱過程において圧力と体積が
証明は熱力学第一法則を用います。すなわち内部エネルギーの変化と与えられる熱量と仕事の間には
次にこれを一般の過程におけるものとしてこの保存量を求めてみましょう。一般の過程における比熱をとします。考える温度の範囲内で比熱が一定であるとすると、
この一般化されたポアソンの式を用いるといろいろな過程に関する比熱を求めることが出来ます。例えば断熱過程においてはなのでです。等温過程においては理想気体の状態方程式からなのでと考えることが出来ます。また等積、等圧変化の場合にがそれぞれに一致することも確かめられます。
今回の記事を書くにあたっては下の本を参考にしました。
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それでは。
not a cloud in the sky
こんにちは、よねすけです。
この前の木曜日かな、めっちゃ天気良くて授業始まる前に思わずパシャりと撮ってしまった写真。あまり天気の良さが伝わらんね笑
あと、後期の成績発表があって人生初のフル単でした!!!!めでたい!!!
そんなわけでバーゼル問題の証明を書きたいと思います。バーゼル問題に関してはこのブログでは扱うのが3回目ですね。いろんな証明があるのはやっぱり面白いですね。以前の記事については以下に貼っておきます。
otaku-of-suri.hatenablog.com
otaku-of-suri.hatenablog.com
これで積分値がわかりました。次にこの積分を級数展開しましょう。
めっちゃテクニカルやけどかっこいい証明やと勝手に思ってます。
それでは。
おもろい図形
こんにちは, よねすけです.
円の中に一点を適当にとり, それを通る線分とそれに垂直な線分を上の図のようにとったとしましょう. このとき, 円の半径を用いて
この式の証明をするために下のように補助線を引きます.
線分は円の中心を通るように取るものとします. そうすると
とても綺麗な式ですね.
それでは.
[追記]
いろいろ突っ込まれそうなので一応書いておくとこの証明ははじめに取る点が円の中心と一致しないときに限り成立します. 円の中心に一致する時は, なので明らかに成り立ちますね. また円の中心でない点を取った場合には適当な回転を行えば上の図のようにがよりも長く, がよりも短くなるようにすることができるので確かに問題ありません. 図形を用いて証明する場合はこういった面倒があるので大変ですね.
判別式パート3
こんにちは, よねすけです.
otaku-of-suri.hatenablog.com
以前3次方程式の判別式についてまとめました. 今回次方程式の特別な場合としてのの判別式を求めることが出来たので以下に記しておきます.
判別式と微分の関係については高木貞治の本を参考にしました.
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判別式は係数の多項式で次のように表されます.
- のとき
考える方程式は
- のとき
考える方程式は
以上から次方程式の判別式は
otaku-of-suri.hatenablog.com
それでは.