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オタクof数理の共同ブログ

京大情報学科数理工学コースの学生4人による共同ブログです

正準変換(母関数を用いて)

よねすけ 物理 解析力学

おはこんばんにちは。よねすけです。
久しぶりの投稿です。今回は解析力学について。

注意:以下ではアインシュタインの規約を用いているのでシグマがすべて省略されています。

ラグランジュ形式ではq\rightarrow Q(q)という点変換について共変的(形が変わらない)でした。
それではハミルトン形式でも同様にq,p\rightarrow Q,Pという相空間内の一般の変換についても共変になるのでしょうか。しかし、勝手な変換をしてしまっては正準方程式


\left\{
\begin{array}{c}
\dot{q^{i}}=\displaystyle \frac{\partial H}{\partial p_{i}}\\
\dot{p_{i}}=-\displaystyle \frac{\partial H}{\partial q^{i}}
\end{array}
\right.

を満たさなくなります。ということはある種の条件が必要になります。それを具体的に求めていきましょう。
次にような相空間内の変換を考えます。


\left\{
\begin{array}{c}
Q=Q(q,p)\\
P=P(q,p)\\
\end{array}
\right.

このときの変換されたハミルトニアンK(Q,P,t)に対して、正準方程式が成立しているとします。すなわち、


\left\{
\begin{array}{c}
\dot{Q^{i}}=\displaystyle \frac{\partial K}{\partial P_{i}}\\
\dot{P_{i}}=-\displaystyle \frac{\partial K}{\partial Q^{i}}
\end{array}
\right.

いま、変分原理により、\displaystyle \delta\int_{t_{1}}^{t_{2}}\{P_{i}\dot{Q^{i}}-K(P,Q,t)\}dt=0 がいえます。一方p,qについても\displaystyle \delta\int_{t_{1}}^{t_{2}}\{p_{i}\dot{q^{i}}-H(q,p,t)\}dt=0 がいえます。
これらより、\displaystyle \delta\int_{t_{1}}^{t_{2}}\{(p_{i}\dot{q^{i}}-K)-(P_{i}\dot{Q^{i}}-H)\}dt=0 なので、任意関数Wを用いて、
(p_{i}\dot{q^{i}}-K)-(P_{i}\dot{Q^{i}}-H)=\displaystyle\frac{dW}{dt}
です。実際、そうであれば
\displaystyle\int_{t_1}^{t_2}\frac{dW}{dt}=[W]^{t_2}_{t_1}となり、これは端点の値のみの関数より、その変分は0になります。
この式に対応する微分形式を用いた式は

(※) dW=p_{i}dq^{i}-P_{i}dQ^{i}+(K-H)dt

です。この表現にすることで左辺の全微分が右辺の1形式に対応していることがわかります。右辺にdq^{i},dQ^{i},dtがあるのでWの引数に(q,Q,t)をとることが自然だと考えられます。

母関数W_{1}(q,Q,t)

母関数W_{1}(q,Q,t)の全微分
\displaystyle dW_{1}=\frac{\partial W_{1}}{\partial q^{i}}dq^{i}+\frac{\partial W_{1}}{\partial Q^{i}}dQ^{i}+\frac{\partial W_{1}}{\partial t}dt
であり、前の議論より、dW_{1}=p_{i}dq^{i}-P_{i}dQ^{i}+(K-H)dt なので係数を比較して、

\displaystyle p_{i}=\frac{\partial W_{1}}{\partial q^{i}},\ P_{i}=-\frac{\partial W_{1}}{\partial Q_{i}},\ K-H=\frac{\partial W_{1}}{\partial t}

がわかります。

母関数W_{2}(q,P,t)

微分

\displaystyle dW_{2}=\frac{\partial W_{2}}{\partial q^{i}}dq^{i}+\frac{\partial W_{2}}{\partial P_{i}}dP_{i}+\frac{\partial W_{2}}{\partial t}dt

となりますが、これでは前に出てきた関係式を用いる事ができません。そこでルジャンドル変換

\displaystyle W_{2}=W_{1}+P_{i}Q^{i}

を考えます。両辺の全微分を取れば

\displaystyle dW_{2}=dW_{1}+P_{i}dQ^{i}+Q^{i}dP_{i}

なので(※)を代入すれば

\displaystyle dW_{2}=p_{i}dq^{i}+Q^{i}dP_{i}+(K-H)dt

よって、

\displaystyle p_{i}=\frac{\partial W_{2}}{\partial q^{i}},\ Q^{i}=\frac{\partial W_{2}}{\partial P_{i}},\ K-H=\frac{\partial W_{2}}{\partial t}

です。

母関数W_{3}(p,Q,t)

\displaystyle dW_{3}=\frac{\partial W_{3}}{\partial p_{i}}dp_{i}+\frac{\partial W_{3}}{\partial Q^{i}}dQ^{i}+\frac{\partial W_{3}}{\partial t}dt

です。ルジャンドル変換\displaystyle W_{3}=W_{1}-p_{i}q^{i}を考えて同様の議論をすれば

\displaystyle q^{i}=-\frac{\partial W_{3}}{\partial p_{i}},\ P_{i}=-\frac{\partial W_{3}}{\partial Q^{i}},\ K-H=\frac{\partial W_{3}}{\partial t}

母関数W_{4}(p,P,t)

\displaystyle dW_{4}=\frac{\partial W_{4}}{\partial p_{i}}dp_{i}+\frac{\partial W_{4}}{\partial P_{i}}dP_{i}+\frac{\partial W_{4}}{\partial t}dt

です。ルジャンドル変換\displaystyle W_{4}=W_{1}-p_{i}q^{i}+P_{i}Q^{i}を考えて同様の議論をすれば

\displaystyle q^{i}=-\frac{\partial W_{4}}{\partial p_{i}},\ Q^{i}=\frac{\partial W_{4}}{\partial P_{i}},\ K-H=\frac{\partial W_{4}}{\partial t}

以上の結果を表にまとめると、

母関数
q^{i}
p_{i}
Q^{i}
P_{i}
K-H
W_{1}(q,Q,t) \displaystyle\frac{\partial W_{1}}{\partial q^{i}} \displaystyle-\frac{\partial W_{1}}{\partial Q^{i}} \displaystyle\frac{\partial W_{1}}{\partial t}
W_{2}(q,P,t) \displaystyle\frac{\partial W_{2}}{\partial q^{i}} \displaystyle\frac{\partial W_{2}}{\partial P_{i}} \displaystyle\frac{\partial W_{2}}{\partial t}
W_{3}(p,Q,t) \displaystyle-\frac{\partial W_{3}}{\partial p_{i}} \displaystyle\frac{\partial W_{3}}{\partial Q^{i}} \displaystyle\frac{\partial W_{3}}{\partial t}
W_{4}(p,P,t) \displaystyle-\frac{\partial W_{4}}{\partial p_{i}} \displaystyle\frac{\partial W_{4}}{\partial P_{i}} \displaystyle\frac{\partial W_{4}}{\partial t}

以上です。


\LaTeXだるい。