オタクof数理の共同ブログ

京大情報学科数理工学コースの学生4人による共同ブログです

判別式

こんにちは、よねすけです。
春休み暇すぎて結構なペースで投稿してますねぇ(笑)

今回は判別式と解の公式の関係について。
判別式といえば高校生の時に

『2次方程式ax^2+bx+c=0の判別式DD=b^2-4ac

みたいなことを習ったと思います。実際、

D>0ならば異なる二つの実数解を持つ

D=0ならば重解を持つ

D<0ならば解を持たない(異なる二つの複素数解を持つ)

であり、これは2次方程式ax^2+bx+c=0の解の公式

\displaystyle x=\frac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a}

のルートの中身を比較することからわかることです。

しかし、
判別式というものは本当は別の定義があるのです!!

百科事典マイペディアで『判別式』と検索してみるとつぎのように書いてあります。

n次方程式a_0 x^n + a_1 x^{n-1}+\cdots +a_n=0n個の根x_1,x_2,\cdots,x_nの差の2乗を掛け合わせた式を初めの方程式の判別式という。

高校生の時に電子辞書で何となく判別式って調べてこれが出てきたとき「まじで?!?!」ってなったのを今でも覚えています。(Wikipediaには結構難しいことが書かれていますが僕らが考える分にはこれくらいで十分やと思います)
んじゃ、今まで呪文のように唱えてきたb^2-4acってなんやねん、あってんのかいなって思うかもしれません。それを今から確かめていきたいと思います。

まずは、2次方程式ax^2+bx+c=0の時を考えてみましょう。
この方程式の2解を\alpha,\betaとでも置いてみましょう。重複する2解をもつならばその時は\alpha=\betaです。このとき上の定義に沿って判別式を計算してみましょう。判別式をDとおくと

\displaystyle D=(\alpha-\beta)^2

になります。(\displaystyle (\beta-\alpha)^2でもよいのですが2乗するのでするのでどちらでもよいです。)
このままだとどうしようもないので判別式の値を頑張って求めていきましょう。ここで用いるのが解と係数の関係です。懐かしいですね。受験って感じがして。

\begin{eqnarray}
\displaystyle\alpha+\beta&=&-\frac{b}{a}\\
\alpha\beta&=&\frac{c}{a}\\
\end{eqnarray}

これを適宜用いれば
\begin{eqnarray}
\displaystyle D&=&(\alpha-\beta)^2\\
&=&(\alpha+\beta)^2-4\alpha\beta\\
&=&(-\frac{b}{a})^2-4\frac{c}{a}\\
&=&\frac{1}{a^2}(b^2-4ac)\\
\end{eqnarray}

ほら、出てきました!!b^2-4acが!!(前に係数として\displaystyle\frac{1}{a^2}がついてますがこれは符号には影響を与えないものなので無視しても構いません。)
なるほど、判別式っていうのはこういう風にして求めていくものなのか、ということが分かったと思います。2次方程式の判別式を求めたんやったら次は3次方程式の判別式も知りたいですよね?!求めましょう!!
3次方程式はax^3+bx^2+cx+d=0の形をしたものです。ですがこのままだと計算が非常に煩雑になってしまうのでここではx^3+px+q=0の形のものを考えます。
ちなみに、このようにx^2の項を消去する変換のことを(多分)チルンハウス変換と言います(これは高校の時に友達に教えてもらったもので名前があってるかは怪しい。)。これは元の3次方程式をx軸方向に\displaystyle\frac{b}{3a}だけ平行移動させ、係数を整えたものであるから解の個数は変わらない。
このとき、x^3+px+q=0の3解を\alpha,\beta,\gammaと置きましょう。先に解と係数の関係から導かれるものを書いておきましょう。
\begin{eqnarray}
\alpha+\beta+\gamma=0\\
\alpha\beta+\beta\gamma+\gamma\alpha=p\\
\alpha\beta\gamma=-q\\
\end{eqnarray}

これを適宜用います。判別式Dは定義に沿うとD=(\alpha-\beta)^2 (\beta-\gamma)^2 (\gamma-\alpha)^2なので、
\begin{eqnarray}
D&=&\{(\alpha+\beta)^2-4\alpha\beta\}\{(\beta+\gamma)^2-4\beta\gamma\}\{(\gamma+\alpha)^2-4\gamma\alpha\}\\
&=&\{(-\gamma)^2-4\alpha\beta\}\{(-\alpha)^2-4\beta\gamma\}\{(-\beta)^2-4\gamma\alpha\}\\
&=&(\gamma^2-4\alpha\beta)(\alpha^2-4\beta\gamma)(\beta^2-4\gamma\alpha)\\
&=&-63\alpha^2\beta^2\gamma^2-4(\alpha^3\beta^3+\beta^3\gamma^3+\gamma^3\alpha^3)+16\alpha\beta\gamma(\alpha^3+\beta^3+\gamma^3)\\
\end{eqnarray}

になります。途中の計算はめんどくさいので省略さしてください。。。(自分で計算してるときこの展開で1時間くらい格闘してた())
各々の項を頑張って計算していきましょう。
第1項ですがこれは簡単です。
\alpha^2\beta^2\gamma^2=(\alpha\beta\gamma)^2=(-q)^2=q^2

第2項は少しやっかいなので第3項から計算しましょう。ここで思い出してほしいのが
\alpha^3+\beta^3+\gamma^3-3\alpha\beta\gamma=(\alpha+\beta+\gamma)(\alpha^2+\beta^2+\gamma^2-\alpha\beta-\beta\gamma-\gamma\alpha)

です。みんなこれ覚えてるかな(笑)ぼくの高校ではやたらめったらこいつを覚えさせられた記憶が。。。(笑)とにかくこいつを用いると、
\begin{eqnarray}
\alpha^3+\beta^3+\gamma^3&=&(\alpha+\beta+\gamma)(\alpha^2+\beta^2+\gamma^2-\alpha\beta-\beta\gamma-\gamma\alpha)+3\alpha\beta\gamma\\
&=&3\alpha\beta\gamma\\
&=&3(-q)=-3q\\
\end{eqnarray}

\alpha+\beta+\gammaの項がうまいこと出てきてそれが0なので計算が案外すっきりとしましたね。最後に第2項です。
\begin{eqnarray}
\alpha^2\beta^2+\beta^2\gamma^2+\gamma^2\alpha^2&=&(\alpha\beta+\beta\gamma+\gamma\alpha)^2-2\alpha\beta\gamma(\alpha+\beta+\gamma)\\
&=&(p)^2-0=p^2\\
\end{eqnarray}

これを用いてやると
\begin{eqnarray}
\alpha^3\beta^3+\beta^3\gamma^3+\gamma^3\alpha^3&=&(\alpha\beta+\beta\gamma+\gamma\alpha)(\alpha^2\beta^2+\beta^2\gamma^2+\gamma^2\alpha^2-\alpha\beta\gamma(\alpha+\beta+\gamma))+3\alpha^2\beta^2\gamma^2\\
&=&p(p^2)+3(q)^2=p^3+3q^2\\
\end{eqnarray}

になります。これらをまとめると
\begin{eqnarray}
D&=&-63q^2-4(p^3+3q^2)+16(-q)(-3q)\\
&=&-4p^3-27q^2\\
\end{eqnarray}

になりました!!ようやく3次方程式の判別式がもとまりましたね(笑)暇な人はぜひこの計算を自分でやってみてください。もっといい方法あるで!!っていう人はぜひ知らせてください!!
こんな風にして3次方程式x^3+px+q=0の判別式は-4p^3-27q^2と求まりました。

で、この判別式の結果を見て何か思い当りませんか?

そうです!!カルダノの公式です!!カルダノの公式は3次方程式x^3+px+q=0の解の公式でその1つは次の形で与えられます。

\displaystyle
x=\sqrt[3]{-\frac{q}{2}+\sqrt{\frac{p^3}{27}+\frac{q^2}{4}}}+\sqrt[3]{-\frac{q}{2}-\sqrt{\frac{p^3}{27}+\frac{q^2}{4}}}

カルダノの公式のルートの中の部分を見てもらうとちょうど判別式を-108で割ったものになっています。
このように2次方程式、3次方程式の解には判別式が含まれていることが分かりました。判別式は解の情報を与えるものなので当然といえば当然です。同様に考えれば4次方程式の解の公式にも判別式が含まれるはずです。そしたら、5次方程式のときも、、、と言いたくなるところですがそううまくはいきません。5次以上の方程式については一般には解の公式は存在しないことが知られています。んじゃ、5次以上の方程式における判別式って何者?!って感じですけど、それは僕は知りません。重根があるかないかを教えてくれることは確かです。それ以上のことを教えてくれるのでしょうか?それは誰かが調べてくれてるんですかね。

今回のブログはまともに下調べもせずにブワーって書きつらねたので嘘八百に満ちているかもしれません。間違ってたらどしどし言ってください。
それでは

なんか知らんけど今回大阪弁が結構入ってもうた


[追記:2016/12/3]こんなに長い展開を書きましたがこんなことをしなくても簡単に求まります。
otaku-of-suri.hatenablog.com
これを参考にしてください。