二重級数
先日、塾講をしているときに出てきた問題が面白かったのでここに取り上げることにしました。
次の無限級数の和を求めよ。
まずは普通に解いてみましょう。
とおいてみると、は次のようになります。
これより上の無限級数の部分和を求めると、
よって無限級数の和はのであるから、
高校生はこれで解けば満点がもらえると思います。でも大学生らしい方法でも解きたいので以下のような方法も考えました。
最初にこの問題を見たとき、各括弧内の指数部分の取り方に作為的なものを感じました。ぼくはこれを次のような表から得られたものではないか??と考えました。
この表を見れば上に導入したは表のn行1列から1行n列に向かう直線上の和に対応することが分かります!!!!!このような和の取り方を二重級数の対角線式の番号の付け方と呼びます。このことは毎度おなじみの高木貞治の解析概論に載っています。
表の各要素の値は正であるからこの無限級数は収束するならば絶対収束する、すなわち和の順序によらないことが分かります。なので和の順序を交換するためにはこの無限級数が収束することをはじめに示さなければなりません。が、まあ入試問題に出ているなら収束やろ??と思ってしまってこの級数が絶対収束するものとして和の順番を変えてしまいましょう。*1
順番の変え方としてはいろいろあると思いますが、ここでは各行を足しあげてみましょう。するとこの無限級数は
となり上と同じ値が得られました!!!各列を足しあわせても同じ値が得られることはすぐに分かります。
高校生の解く問題を大学数学の観点からちょっとテクニカルに解いてみました。こういうのも面白いですね。
それでは。
*1:とは言ってもきちんと示す必要があります。よりがわかるので収束することが示されます。