オタクof数理の共同ブログ

京大情報学科数理工学コースの学生4人による共同ブログです

数学のメモ

授業の演習問題で\displaystyle\zeta(2)=\frac{\pi^2}{6}の証明する問題が出たのでいろいろな証明を載せたいと思います。

フーリエ級数展開の利用
\displaystyle\zeta(2)=\sum_{n=0}^{\infty}\frac{1}{n^2}についてこれは無限級数なのでフーリエ級数展開を用いることを考えます。(授業の演習問題はこの方法だった)
周期関数f(t)=t^2(-\pi\le t\le\pi)の複素フーリエ級数展開を計算すると

\displaystyle
\begin{equation}
t^2=\frac{\pi^2}{3}+\sum_{n\ne 0,n=-\infty}^{\infty}\frac{2(-1)^n}{n^2}e^{-int}
\end{equation}

である。t=\piを代入すると
\displaystyle\begin{eqnarray}
\pi^2&=&\frac{\pi^2}{3}+\sum_{n\ne0}\frac{2(-1)^n}{n^2}e^{-int}\\
&=&\frac{\pi^2}{3}+\sum_{n\ne0}\frac{2(-1)^n}{n^2}(-1)^n\\
&=&\frac{\pi^2}{3}+\sum_{n\ne0}\frac{2}{n^2}\\
&=&\frac{\pi^2}{3}+2\sum_{n=1}^{\infty}\frac{2}{n^2}\\
&=&\frac{\pi^2}{3}+4\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n^2}
\end{eqnarray}

となります。あとは式変形すると
\displaystyle
\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n^2}=\frac{\pi^2}{6}

となることがわかりました。


別の級数から求める
先ほどの関数の複素でない場合のフーリエ級数展開から得られる

\displaystyle
\sum_{n=1}^{\infty}\frac{(-1)^{n+1}}{n^2}=\frac{\pi^2}{12}

があります。これを書き下してみると
\displaystyle
\frac{1}{1^2}-\frac{1}{2^2}+\frac{1}{3^2}-\frac{1}{4^2}+\frac{1}{5^2}-\frac{1}{6^2}+\cdots=\frac{\pi^2}{12}

一方、適切な不等式評価を行うと\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n^2}は収束することがわかるので、この値を\displaystyle\alphaと置いてみます。
ここで以下のような級数を考えます。
\displaystyle
2\frac{1}{2^2}+2\frac{1}{4^2}+2\frac{1}{6^2}+2\frac{1}{8^2}+\cdots

この級数はきちんと収束して先ほどの\displaystyle\alphaを用いると\displaystyle 2\cdot\frac{1}{2^2}\alpha=\frac{1}{2}\alphaとなります。
そこでこの2つの無限級数を足し合わせてみます。
\displaystyle\begin{eqnarray}
\frac{1}{1^2}-\frac{1}{2^2}+\frac{1}{3^2}-\frac{1}{4^2}+\frac{1}{5^2}-\frac{1}{6^2}+\cdots&=&\frac{\pi^2}{12}\\
2\frac{1}{2^2}+2\frac{1}{4^2}+2\frac{1}{6^2}+2\frac{1}{8^2}+\cdots&=&\frac{1}{2}\alpha
\end{eqnarray}

すると左辺はちょうど\displaystyle\frac{1}{1^2}+\frac{1}{2^2}+\frac{1}{3^2}+\cdots=\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n^2}となり、これは\displaystyle\alphaに一致します。右辺と比較すると\displaystyle\frac{\pi^2}{12}+\frac{1}{2}\alpha=\alphaより、
\displaystyle
\alpha=\frac{\pi^2}{6}

が得られました。

続きは長くなるので次回に書きます。