オタクof数理の共同ブログ

京大情報学科数理工学コースの学生4人による共同ブログです

判別式パート2

こんにちは,よねすけです.

少し前に三次方程式の判別式について長々と書きました.

otaku-of-suri.hatenablog.com

ところが,ある日高木貞治代数学講義を読んでいたら,

代数学講義 改訂新版

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五次方程式の判別式の求め方をものすごく簡単に示していて目からウロコでした.今回は三次方程式の場合に高木先生の方法を一部用いて判別式を求めたいと思います.

三次方程式x^3+px+q=0に対して,判別式はp^mq^nのような項からなっていて,その次数の重さは6です.p,qの重さはそれぞれ2,3なので

2m+3n=6

という式が成り立ちます.これより(m,n)=(3,0),(0,2)です.よって判別式は

D=\lambda p^3+\mu q^2

が分かります.例えばp=0,q=-1\Leftrightarrow x^3-1=0を考えるとこの方程式の解は1,\omega,\omega^2なので判別式は

D=(1-\omega)^2(\omega-\omega^2)^2(\omega^2-1)^2=-27

になります.いまp=0,q=-1よりD=\muなので\mu=-27が分かりました.
p=-1,q=0\Leftrightarrow x^3-x=0を考えるとこの方程式の解は0,\pm 1なので判別式は

D=(0-1)^2(1-(-1))^2((-1)-0)^2=4

になります.いまp=-1,q=0よりD=-\lambdaなので\lambda=-4が分かりました.

以上より三次方程式x^3+px+q=0の判別式D

D=-4p^3-27q^2

が分かりました.

めちゃくちゃ簡単に出せましたね.前回の鬼の計算量とは比較になりません.高木先生の本には判別式と微分の関係を使って更に簡単に示していましたがこの方法でも十分に早いので良いと思います.気になった人はぜひ高木貞治代数学講義を手に取って見てみて下さい.

最近数学ばかりなので今度は物理のことを書きたい.黒体輻射のこととか.

それでは