オタクof数理の共同ブログ

京大情報学科数理工学コースの学生4人による共同ブログです

半球の体積の求め方

こんにちは。かじはらです。なんと2015年8月以来の投稿になります。

前回の投稿で株はじめる宣言をしたかじはらでした。
otaku-of-suri.hatenablog.com


しかしすっかり飽きてしまったというか、毎日朝に株価のチェックをするのが面倒で、今はほとんど売ってしまいました。

持っていた株を売るときにあまりにも買値よりも下がってしまっていたものだけ今手元に置いているのですが、この前久々に確認したらだいぶ値段が戻ってきてたことと、少ないながらももらえる配当金のことを考えると、まあ持ったままでいいかな、と思って放置しています。



さて本題。今日は以下の問題について考えます。

「半径rの半球の体積Vを求めなさい」

答えが { \displaystyle
V = \frac{2}{3} \pi r^3
} であることはあまりによく知られた結果ですね。

(球の体積の公式を習ったとき、それを微分すると球の表面積になることに気付いた瞬間はなんとも言えない感動がありましたが、今思えば、微分積分の意味を理解していなかった証拠かもしれません。)

この問いにガリレオ・ガリレイが全く別の解法を提示していたことを最近知りました。

日常現象からの解析学

日常現象からの解析学

↑この本の中で紹介されてました。好き。

新科学対話〈上,下〉 (1949年) (岩波文庫)

新科学対話〈上,下〉 (1949年) (岩波文庫)

↑ちなみに元ネタはこの本の中に。



まず半径r高さrの円柱にこの半球をすっぽりと埋もれさせたものの断面を考えます。

f:id:otaku_of_suri:20161203170422p:plain

さらに次のような補助線をひいてみます。
f:id:otaku_of_suri:20161203170641p:plain
添え字がごちゃごちゃしていて見にくいですね。ついでに言うと最初の図との大きさのバランスも悪いですね。ごめんなさい。

さて、ここで半球ではなく、この補助線によって現れた円錐と、円柱から半球をくりぬいた図形に対応する臼のような形の図形に着目してみましょう。

このGHの面でスパッと切ったときの臼に対応する図形の断面積Sは
{ \displaystyle
S = \pi (GH^2 - HI^2)
}
と表せます。ここでピタゴラスの定理より、
{ \displaystyle
HI^2 = FI^2 - FH^2
}
が成り立ちます。

さらに、GHは半球の半径に対応することからGH=FI、この円錐の断面が直角二等辺三角形であることからFH=JHが成り立ちます。

よってこれらを代入すると
{ \displaystyle
S = \pi (FI^2 - (FI^2 - JH^2))= \pi JH^2
}
となり、臼の断面積が円錐の断面積と一致することがわかります。これは円柱の底面に水平になるように切断することを考えれば、円柱内の任意の断面について成り立ちます。

これより円錐の体積は
{ \displaystyle
\frac{1}{3}×(円柱の体積)
}
ですので、半球の体積は
{ \displaystyle
V = \frac{2}{3}×(円柱の体積)=\frac{2}{3} \pi r^3
}
であることがわかりました。


こんな補助線の引き方、そう簡単に思いつくものじゃないと思います。(少なくとも自分には無理。)


余談ですが、ガリレオが亡くなった年はニュートンが生まれた年でもあります。なんだか運命的ですね。

おしまい。