オタクof数理の共同ブログ

京大情報学科数理工学コースの学生4人による共同ブログです

not a cloud in the sky

こんにちは、よねすけです。

この前の木曜日かな、めっちゃ天気良くて授業始まる前に思わずパシャりと撮ってしまった写真。あまり天気の良さが伝わらんね笑
あと、後期の成績発表があって人生初のフル単でした!!!!めでたい!!!

そんなわけでバーゼル問題の証明を書きたいと思います。バーゼル問題に関してはこのブログでは扱うのが3回目ですね。いろんな証明があるのはやっぱり面白いですね。以前の記事については以下に貼っておきます。
otaku-of-suri.hatenablog.com
otaku-of-suri.hatenablog.com

今回バーゼル問題を扱う際に大事になるのは次の積分です。

\displaystyle I=\int_{0}^{1}\frac{\arcsin x}{\sqrt{1-x^2}}dx
まずはこの積分を変数変換を用いて値を求めましょう。x=\sin\thetaと置くと、
\displaystyle I=\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\frac{\theta}{\cos\theta}\cos\theta d\theta=\left[\frac{\theta^2}{2}\right]_{0}^{\frac{\pi}{2}}=\frac{\pi^2}{8}

これで積分値がわかりました。次にこの積分級数展開しましょう。
\displaystyle\arcsin x=\int_{0}^{x}\frac{dt}{\sqrt{1-t^2}}=\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(2n)!}{4^n(n!)^2(2n+1)}x^{2n+1}
を用いると
\displaystyle\begin{align}
I&=\int_{0}^{1}\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(2n)!}{4^n(n!)^2(2n+1)}x^{2n+1}\frac{1}{\sqrt{1-x^2}}dx\\
&=\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(2n)!}{4^n(n!)^2(2n+1)}\int_{0}^{1}\frac{x^{2n+1}}{\sqrt{1-x^2}}dx\\
&=\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(2n)!}{4^n(n!)^2(2n+1)}\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\sin^{2n+1}\theta d\theta
\end{align}
となります。最後の行はx=\sin\thetaの変数変換を行いました。ここで\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\sin^{2n+1}\theta d\thetaの積展開
\displaystyle\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\sin^{2n+1}\theta d\theta=\frac{2\cdot\cdots 2n}{1\cdot3\cdot\cdots\cdot(2n+1)}
を用いると、
\displaystyle\begin{align}
I&=\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(2n)!}{4^n(n!)^2(2n+1)}\frac{2\cdot\cdots 2n}{1\cdot3\cdot\cdots\cdot(2n+1)}\\
&=\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(2n)!}{4^n(n!)^2(2n+1)}\frac{2^n\cdot 2^n\cdot(n!)^2}{(2n)!}\frac{1}{2n+1}\\
&=\sum_{n=0}^{\infty}\frac{1}{(2n+1)^2}
\end{align}
となります。以上より
\displaystyle\sum_{n=0}^{\infty}\frac{1}{(2n+1)^2}=\frac{\pi^2}{8}
がわかりました。今、求めたいバーゼル問題を
\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n^2}=\alpha
とおけば、これを偶数と奇数に分けることによって
\displaystyle\begin{align}
\alpha&=\sum_{n=0}^{\infty}\frac{1}{(2n+1)^2}+\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{4n^2}\\
&=\frac{\pi^2}{8}+\frac{\alpha}{4}
\end{align}
より、この方程式を解くことで、\alpha=\pi^2/6がわかります。以上よりバーゼル問題
\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n^2}=\frac{\pi^2}{6}
が示されました。

めっちゃテクニカルやけどかっこいい証明やと勝手に思ってます。

それでは。