チェザロ平均
こんにちは,よねすけです.
今回は数列のチェザロ平均というものついて書きたいと思います.
今までは数列(今回は複素数列を考える.)の級数が収束するというのは複素数列の級数
について第部分和を
と定めたときに,となるならば,級数和はに収束する,というふうに習ったと思います.この定義でいくと例えば
などが分かりますね.しかし,この定義だと次のような級数に対して極限を持ちません.
この場合は部分和の列がとなるからです.しかし部分和が交互にと現れるので希望としてはに収束してくれるといいなあ,って思いますよね??そこで次のような意味付けを与えてみましょう.
はじめの個の部分和の平均をとって
とおいてみましょう.を数列の第チェザロ平均と呼ばれます.のときにが普通の意味である複素数に収束するときに,級数はにチェザロ総和可能というふうに言います.
この定義で行くと先ほどの級数もきちんとに収束することも確かめられますね.
しかし,少し問題があります.収束の意味をこのように押し広げたときにこれは果たして普通の意味で収束するときの値と一致するのでしょうか?なので次の事を確かめる必要があります.
これは真です.実際に確かめましょう.はじめと同じように数列の級数が普通の意味でに収束するとしましょう.
このとき次が成り立つことは一回生の微積分でやりました(論法で示せます.).
これよりこの級数はにチェザロ総和可能であることが分かりました.しかも収束値まで一致します.
それでは.
三角関数に関する不等式
こんにちは,よねすけです.
今回は三角関数に関する不等式を示したいとおもいます.三角形の角,角,角について
となります.これを面白い方法で示してみましましょう(受験数学では有名な手法なので読者の皆さんは知っていることかも知れませんが,,,).
上のような図を書いてみました.の上に角,角,角を載せてみましょう.そうするとその3点から三角形が作られますが,]においては凸関数なので三角形は正弦波はその下に潜り込む形になります.その三角形の重心を考えると三角形の重心は必ずその内部にあるので座標の大小を比較すれば以下の式が成立します.
は三角形の角なのでなのでそれを代入すれば
が得られました.しかしこれは三角形の角がすべて異なるときにしか成り立ちません.二等辺三角形や正三角形の場合は別に考えないと行けません.正三角形の場合は等号が成立するので大丈夫です.二等辺三角形の場合は三角形が線分になりますが線分をに分ける点と点の平均となる点が一致するので同様に上の式が成り立つことが分かります.以上より
が示されました.またこの式から
も分かります.これは相加平均相乗平均に関する不等式を用いると
なので左辺と右辺をで割り,乗すると示されます.三角関数に関する不等式は色々な証明方法が知られているので面白いですね.
それでは.
フェルマーの小定理の証明
こんにちは、よねすけです。
今回はフェルマーの小定理を二通りで証明したいと思います。
- 数学的帰納法による証明
まずは
となることをに関する数学的帰納法で示しましょう。の時は明らかなので、あるでこの式が成立するとしましょう。
このとき二項展開の公式を用いて、
いまのとき、はの倍数であることが知られています。なぜなら
と表されており、はの倍数である一方、はの倍数で無いからです。以上より帰納法の仮定を用いれば
となりの場合も成り立つことが示されました。
がの倍数でないとき、すなわちのときは両辺をで割って
が示されました。
- 群の性質を用いるもの
組み換え定理を用います。を考えるならば、によって以下の2つの集合が対等であることが分かります。
これを用いれば
はの倍数でないので(ウィルソンの定理によると)、両辺をで割ると
が得られました。
どちらも簡潔な証明で素晴らしいですね。
それでは。
ウィルソンの定理の証明
こんにちは、よねすけです。久々の投稿になります。
今回はウィルソンの定理を二通りで証明したいと思います。
- 逆元を用いた証明
逆元に関する話は前回にも少し書きましたが、ここに改めて記すことにします。
なる自然数に対して、なるがただひとつ存在し、と書きます。このとき
の個の数字をというペアに分けます。なぜこのようなペアに分けることができるかというと、
となり、この2つははじめから除いてあるからです。よって、
ゆえに、
となり、ウィルソンの定理が示されました。
- 原始根を用いた証明
は巡回群になることが知られており、その生成元を原始根と呼びます。(本当の定義は違う気がします。)
生成元の一つを選び、とすると、
と書けることが分かります。でウィルソンの定理が成り立つのは明らかなので以下ではとします。
ここでです。なぜなら、
がフェルマーの小定理から分かります。これよりとなるのですが、いまは原始根なのででなければならないのです。よって
が示されました。(最後にが奇素数であることを用いました。)
以上です。どちらもとてもおもしろい証明だと思います。
それでは
モジュラ逆数
よねすけです。今回は整数論を少しかじってみるよ。
を有理素数とし、の時、
なる整数がただひとつ存在することが一般に知られています。(証明はが上の式を満たすとしてを示せる。)
このときのをにおけるの逆元(モジュラ逆数とも)と言い、と書きます。
(競技プログラミングをしている友達がこのことについて質問してきました。競技プログラミングも結構数学を使うんだなあといった印象です。)
まあこれを書いただけじゃ意味が無いんでここでは1問問題を解いてみましょう。(本当はこの逆元を使ってウィルソンの定理を証明するのが良いんでしょうがここでは数オリ(?)の問題を載せます。)
をみたす。をで割った余りを求めよ。
自分の数論の問題集を取り出したらこの問題にマークが付いてたのが懐かしいのぉ〜と思いましたね。もう4年も前ですね笑
早速解いていきましょう。右辺のが邪魔なのでこれを払うと
となります。右辺の各項は整数で以外はで割れるので、
となり、答えはと分かりました。
一応説明しておくと
としました。これはウィルソンの定理 - Wikipediaを用いました。
あと、
としましたが、確かに
を満たすのでのにおける逆元がであることが分かりますね。
それでは。